「ふだん使いの“薩摩の白もん”」の会

2020.3.14〜23

 鹿児島県・美山(旧苗代川)にある沈壽官窯は、江戸時代に献上ものとして薩摩藩主・島津家に用いられた「白薩摩(白もん)」を現代に引き継ぐ、薩摩焼の宗家です。絢爛かつ精緻な装飾が施された茶道具や置物など、高級陶器を製作する窯として国内外に名を馳せます。民藝とは一線を画す窯ですが、前オーナー・久野恵一は生前、十五代沈壽官氏に掛け合い、白薩摩によるふだん使いのうつわを自らプロデュースするという、奇想天外のプロジェクトを実現させようとしていました。
 それは、420年という長い歴史と共に培われてきた薩摩焼を暮しに寄り添う形で生まれ変わらせ、未来に繋げる取り組みでもありました。志半ばで久野恵一は急逝しましたが、プロジェクトは引き継がれ、この度シリーズ第一弾の器を発表するに至りました。
 柔らかな白色で優美な輝きを放つ、白もんならではの土肌は、日々の 食卓を引き立ててくれます。暮しに新しい風を呼び込んでくれるうつわです。是非ご覧ください。

もやい工藝・手仕事フォーラム 代表 久野民樹