瀬戸の青楽
焼物の町瀬戸の中で赤津・品野地域は、明治に入ってから小もの雑器を大量に生産してきた窯業地です。 赤楽という顔料の赤と鬼板(錆石)からつくられる鉄の黒を用いて、交互に線を引いて縞にした麦藁手(むぎわらで)と呼ばれる文様は、描き易いことで大量生産にも適して、長くつくられ続けてきました。 砂気を含んだ粗く腰の強い陶土は焼成されると、軟らかい風合いの出来となります。 しぶ味のある朱赤の太い筆線と強い意志を感じさせるかのような単純な黒い細線の装飾は、肌色した陶器と融合して実に見事な調和の世界を創り出してくれます。 この赤の代わりに呉須(ごす)を用いて、青色の線描きにかえて、赤楽に対して青楽という名称をつけてみました。 土臭いこの焼物が、線の色変わりによって、爽やかで夏の季節に馴染むかのような出来栄えとなりました。 茶人が趣むような文様で描かれ、つくられた器を推薦してすたれないよう、様々な種類の用器を考えていきたいと思っております。
左が青楽、右が赤楽。湯呑、飯碗
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