日本の吹き硝子によって再現されたイタリー型ピッチャー
倉敷民芸館初代館長・故外村吉之介氏の著した「少年民芸館」という本の中に、イタリアの水注(ピッチャー)が西洋の器の代表格として、推薦されております。 青少年へ向けて手仕事の美を伝えた名著でとりあげた理由は、東西を問わず、美しい良品を暮らしにとり入れて欲しいという願いに、この水注が相応しいものだったからです。
奥原硝子製造所(沖縄県那覇市) イタリー型水注(ピッチャー)・桃原正男さん
日本の暮らしは陶磁器が主ですが、西洋はガラス製品の占める割合が多い為、伝統的によいものが生まれてきました。
コップとピッチャー
しかし、今はこのようなよいピッチャーにはめぐりあうことができず、それでこの度、日本の吹き硝子で再現しようと試みました。 恐らく、西洋では昔、皮でつくられていたものを基にしたデザインだったのでしょう。ピッチャーのシンプルな本体と注ぎ口がペリカンの口先に似て、わずかに小さめなハンドルがしっかりと取りつけられているのが特徴です。 沖縄の再生ガラスで吹きますと、オリジナルなものに比べてやや分厚く、淡く軟らかい質感が生まれます。 つくるには難易度は高く、卓越した宙吹きの技と手早い手作業の技術があって成立します。 だからこそ、桃原正男さんならでは出来ない仕事で、予想以上に秀れて美しい水注(ピッチャー)が吹きあがったのです。
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