沖縄・読谷知花實、恩納村照屋佳信 新着窯出展
11月中旬に照屋さんの昨年三度目となる窯出がありました。 今回の窯の焼成具合はいつも以上の出来栄えで、美しい製品が数多く生まれました。 強く焼かれたものは力強い調子になり、やや甘く焼けたものは白土が柔らかい卵白色となり、釉薬の彩りもより輝いています。
既に11月末には入荷済みでしたが、早速に店に展示するのももったいなく、年末に知花さんの窯出されたものが届くので、年を越して一挙に二つの窯の新着品を「板の間」に並べることにしました。 知花實さんの入荷品も、今回は全体に強く焼きあがっていて、焼き不足なものは余り見かけません。 沖縄陶芸の世界は人間国宝にもなった故金城次郎さんの影響が浸透し、多くのつくり手は躍動感のある技法、模様に走りがちです。そんな中で知花さんは、金城さんがもともとお手本とした琉球古窯、江戸後期の壷屋陶器に気持ちを馳せるかのようです。 淡い白化粧土を求め、渋みのある色調の藍、呉須、飴釉を好んで細い筆致で文様を描きます。点彩彫文も穏やかさで表しています。まるで知花さんの性格、人柄そのもののようです。
この度の窯出し製品の多くは知花さんの特長がよく表出していて、力強いエネルギッシュと素朴な味わい深い雰囲気の照屋佳信さんとは好対照で実に見ごたえのある展示です。 読谷の北窯はじめ各窯元の製品を見る機会が多くなった内地では、異色でありながら実に本来的な二人のつくり手の作品は、このような機会でなければ見られないでしょう。 是非お出掛けいただき、沖縄というより「琉球の陶器」を感じてください。
展示風景
読谷知花實さん
恩納村 照屋佳信さん
長角皿 15,5x21
皿 径21.5
小鉢 径12.5
杯
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