鎌倉・もやい工藝 仕入れ日記  2005年 10月7日 晴れ


TOP
 
もやい工藝について
 
新着品紹介
 
板の間ギャラリー
 
推薦工芸品
 
仕入れ日記
 
日々の暮らし
 
地図・お問い合わせ
 
更新履歴
 
facebook
 
手しごと
 
ネットショップ「SILTA」開店いたしました
 
LINK集

沖縄読谷村北窯 宮城工房、松田共司工房、米司工房

10月の沖縄はまだ夏でした。青い空には白い入道雲がもくもくと流れて生きます。珊瑚礁の石畳に照り返す日差しは強く、北窯へ向かう道を歩いていると、眩しさと暑さで、もうすでに体力が奪われていくような気がします。気を引き締めて窯出しに臨まなければ。

1025-04.jpg1025-01.jpg

北窯に到着すると、すでに窯出しは始まっていました。それぞれの工房の皆さんが汗をかきながら、焼きあがった陶器を出しています。

松田共司さんの工房では、共司さんの沖縄の昔からの知り合いから鬼の手(うにぬティ :タワカシーとも言う泡盛を入れておく為の細長いトックリ)の注文が大量に入ったとのことで、まずそれを出していました。もやい工藝で注文していた陶器はもう少ししたら出てくるのでしょう。


宮城工房ではもう半分くらい窯出しが出来ていて、それをお弟子さんたちが、きちんと種類別に仕分けていました。宮城さんのものは今回どんな焼き上がりなんだろうか・・・。

1025-02.jpg
焼き物の底ずりをしている宮城さん(左)とお弟子さんの田中君。
いつもこうして丁寧にサンドペーパーをかけてくださるのです。

釉薬が緑、飴、藍とそれぞれ美しい色に溶けながら、しかも焼きすぎず、膨れも少ない。このような安定した感じは久しぶりです。宮城さんの最近の窯出しでは、強く窯を炊くせいか焼きすぎてしまい、白化粧の部分が焦げたようになったり、お煎餅のように焼き物が膨れたり歪んだりして、きれいな状態で取れるものが少ない、いわゆる「分止まりが悪い」状態が続いていたのです。そんな時は宮城さんも落ち込み、窯全体も暗くなり、自分も宮城さんをどう慰めて良いのか励まして良いのか解らず、悲しい気持になっていました。
しかし今回はどの焼き物を見ても安定した状態で美しいのです。宮城さん独特の力強い形の上に、美しい釉薬や筒描、櫛描等の紋様がきまっています。そんな陶器達を嬉しい気持で1つ1つ手に取り選んでゆきます。

1025-05.jpg

1025-06.jpg


松田共司さんの工房もいつもどおり安定し、美しい物が取れました。

1025-03.jpg
松田共司さんが窯出しされた小ものを並べているところ。
このような動きも決まっています。

1025-07.jpg

今回は藍と飴の釉薬で描いてもらった葉紋の皿、ゆのみ、マカイ等が特に美しく仕上がりました。

1025-08.jpg

1025-09.jpg


整理が終わり、窯出しのお祝いの宴に呼んでいただきました。
宮城さんもお弟子さんの表情も明るく、「今回は良かったね。薪が乾燥していたのと、風の具合と焚き方が全てうまく合ったんだね。」「土もメーガニック(前兼久という土地で取れる土)を入れたのが良かったのかも。」と今回の窯出しについて話し合っていました。

今回のように宮城さんの窯のものが美しく焼きあがり、工房全体が「良かったね。美しいね。」と喜んでいる中に入れていただき、自分もそれを分かち合えるのはとても嬉しいことです。

1025-14.jpg

窯元で出してくれたコーヒーと沖縄の陶器に盛られた手作りのお菓子(サータアンダギーとタンナファクルー)。


窯出しの合間に読谷の森を散歩しました。
南窯(山田真萬さん、大嶺実清さん、玉元さんの共同窯)の赤瓦と窯がとても美しかったので。

1025-10.jpg

南窯の薪置き場。この屋根も赤瓦。

1025-11.jpg


照屋窯にも打ち合わせの為に立ち寄りました。12月の窯出し(予定)に向けて制作中でした。

左は照屋窯の庭で天日干しされていたマカイ。明るい日差しに当たり、気持ち良さそうですね。
右は照屋窯へ行く山道。空の青さと雲の白さにはっとさせられます。

1025-12.jpg   1025-13.jpg

今回の窯出しは天気にも恵まれ、美しい陶器を選ぶことができました。
沖縄の皆さん、いつも親切にして下さってありがとうございます。
どうかこれからも美しい焼き物を作り続けて下さい。


今回の窯出しのものは、11月5日頃にはもやい工藝に並びます。沖縄らしい力強さとやわらかさを持った形の上に、美しい絵付けを施した陶器達。実際に手に取り触れてみてください。

(もやい工藝  堀澤 三香)

  仕入れ日記 Top