嶋田窯の青磁釉小品
島根県は出雲地方と石見(いわみ)地方に大きく分けられ、どちらも陶業が盛んです。 かつて出雲は茶器や小ものづくりの民窯、石見は大ものづくりの日用品が代表的でもありました。今はどちらも暮らしの器、民藝陶器づくりが主体の窯場、工房が多く、つくられるものも地方性が薄れてきつつあります。石見江津(ごうつ)には私共と長いかかわりのある嶋田窯と宮内窯があり、今回は嶋田窯へ特別注文して出来てきた青磁釉の小品を紹介します。 青磁釉といっても基礎釉となる透明釉・一般には並釉(なみぐすり)で、通常酸化炎焼成(完全燃焼)する物を、還元炎焼成(不完全燃焼)させると、青磁色を呈する色調となるのです。 その為、窯焼きは一窯全てを還元炎焼成しないとこの青磁釉になりません。したがって青磁釉製品を依頼するには、窯に埋まるだけの注文数を確保するか、各地方からの青磁とは別に還元炎で焼かれる他の製品の注文がたまるまで待つこととなります。 この度は大ぶりな蕎麦猪口とどんぶりの注文があった為、前者の一窯分に見合う数量をお願いして焼成してもらったのです。 夏向き用として、すでに出来上がった竹細工のうどん上げザルとセットにしたいので、うどん猪口を注文。ザルうどんばかりではと丼も。また洋風向きの形を考えて、ティーポットをデザイン、筒型湯呑、そして普段に使い勝手のよいオロシ皿の大・中・小を注文しました。見事青磁色が均一に焼かれてお目見えします。
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