坂本茂木さんの窯出し、といっても現在は長男・工君が窯元当主なので一職人の茂ちゃんの新作が入荷しました。共同窯が盆前の窯出しだったので出かけられましたが、坂本窯は個人窯で、盆過ぎの窯出しとなったため今回は立ち会えませんでした。こちらの窯出しは、やや湿気に影響を受けた焼きの調子で、全体に曇りがちです。しかし銅入り釉という、ウス青地色は焼きが美しく、湯のみなど好感が持てます。こういう窯の時は、大ものはとれにくいので、小ものを主に注文していたものを送っていただきました。
茂木流というか、すっかり彼の個性が生じたピッチャー、トビカンナの筒花立て、ぐい呑みなどは美しく良い出来です。その中で珍しくハマグリ合わせという重ね焼きの方法で焼かれた6寸7寸の皿が面白いといえます。ハマグリ合わせというように皿の縁を幅広く厚くして強くし、高台をさかさまにして、縁どうしで重ねるのです。酸素の流入が焼成時に不足しますので不完全燃焼する還元炎でさらに強まるのです。F2がF3になり、釉薬の景色も急変します。酸化銅が含まれるウス青釉が反転して辰砂気味の赤色が少々 際に寄ったところに呈色していました。おもしろい窯出しでした。
縁合わせ皿 7寸
縁合わせ皿 6寸
(左)2個 焼酎のみ (右)ウス青刷毛目湯呑み
リーチ型ピッチャー
ぐい呑いろいろ
3寸皿や小鉢
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