メッカイ(塵取り)
メッカイとは地方名でウワミズ桜と呼ぶみずめ桜の一年ものや、生育の悪い二年ものの枝と見違える細い木を緯六本、経六本揃えて麻やフジ蔓などで編み組み、箕(み)の形をした塵取りをいいます。 山形県や福島県の山間部でも、かつては農林業の民具として、自家製のものを当たり前のように使っていました。 ここ東蒲原郡は福島県北会津地方と接するだけに、生活道具は平野部の多い新潟県よりも東北地方の文化を、そのまま伝えます。 かつては棚田の多い山間部では、堆肥を撒くのに重宝していたといいます。また農作物の収穫にも、篩(ふるい)として役立っていました。ジャガイモには最適で、この地方の農家では未だに使っているとのことです。 この頃では再び炭焼きが盛んになり、メッカイは炭焼きの窯出しには必需品で、需要は増えつつあるとの嬉しい話を聞きました。 野趣のある材質と存在感のある造形は、軟弱化した都会地での現代生活に、活を入れる力となりましょう。 しかし、使うとなると、インテリアか花生けの道具の他に活用の道はないでしょう。それでも住宅の壁や柱につり下げると何とも風情があり、そして健やかさを感じ与えてくれます。 製作者の江川宗夫さんは樹皮や蔓を用いる編み組み細工の作り手として、第一人者と言えるでしょう。70代前半ですが、社会との関わり方や、認識力、造形物に対して抜群の感覚があり、珍しい編組工人です。 すたれ、なくなりつつある東北地方のカゴやザルなどを、ここの地方的様式に置き換え工夫して、新たな製作品を生み出すため意欲的にとりくんでいます。このメッカイもこの姿でありつつ、転用も図ることで、技術を伝承させていくでしょう。
|