一子相伝がいわば不文律となっている小鹿田焼各窯元では、後継者が一人前となる40歳代を過ぎると代替わりとなり、親は今の時代でいえば嘱託として窯の職人となる。御年八十歳になる黒木力さん、まだ後継者が決まらないまま相変わらず誠実できっちりとした轆轤仕事をつづけている。三十余年の付き合い、我が友柳瀬朝夫さん、この四月を過ぎると孫が仕事に入るので引退になる可能性がありそうだ。現代の名工として名を馳せる坂本浩二君の父一雄さん七十歳、優れた技術を持つ家系のDNAをむしろ持て余しながら、小物作りは早くて上手い。67才になり後継者裕之君の技術台頭を待つ柳瀬朝夫さん、近年力が衰えてたとはいえ相変わらずの頑張り仕事をする。これまで代々の伝統を守り、「民藝」の世界で一世を風靡した老陶工もタイムリミットが近づいているのが現実だ。若手中堅が活躍し脚光を浴る小鹿田焼。しかしこの四名の秀でた実力は今も健在である。もやい工藝ならではの企画展示。是非お出かけになり、小鹿田の底力老陶工達の力強く、重厚な仕事をご覧下さい。(もやい工藝 久野恵一)
会場風景
坂本茂木さん
黒木力さん
坂本一雄さん
柳瀬 朝夫さん
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